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- 陰嚢(いんのう)の腫れ、痛み
陰嚢や精巣の腫れや痛みは、男性にとって非常に不安な症状だと思います。
精巣は精子と男性ホルモンを作る臓器であり、陰嚢はそれを守るための袋です。
痛みや腫れは軽度のものから緊急性の高い病気まで幅広く、症状や年齢によって原因が異なるため、早期の診断と適切な対応が重要です。
陰嚢・精巣に痛みがある場合
陰嚢や精巣の痛みは、急性の病気や慢性的な問題、さらには原因不明のものまでさまざまです。
痛みの性質や強さ、出現のタイミングによって病気の種類や緊急性をある程度判断できますので、まずは受診して原因をはっきりさせていきましょう。
精巣捻転
精巣捻転は特に10代の男性に多く、精巣の血管が捻れて血流が途絶し、突然の激しい痛みを伴います。
放置すると精巣が壊死するリスクがあるため、緊急手術が必要です。
超音波検査で血流を確認し、捻転した精巣を陰嚢に固定する手術が行われます。
痛みが出た場合は時間との勝負なので、速やかな受診を意識してください。
急性精巣上体炎
急性精巣上体炎は尿道からの感染で精巣上体が炎症を起こす病気です。
発熱や排尿時の痛みを伴うことが多く、クラミジアなど性感染症が原因になる場合もあります。
診断は触診、超音波、採血、尿検査で行い、抗生剤の内服や安静、患部冷却で治療します。
放置すると精巣への感染拡大リスクがありますので、放置せずに受診してください。
精巣垂捻転
精巣垂捻転は、精巣にある小さな突起である精巣垂が捻れて痛みを生じる状態です。
10歳前後の子供に多く、陰嚢痛の約30%を占めるとされています。
症状は軽度の痛みから激しい痛みまであり、軽症では自然に改善することもありますが、症状が強い場合は医療機関での確認が必要です。
原因不明の痛み
長時間座ることや陰嚢の圧迫による血流不良が影響する場合など、明確な原因が特定できない痛みもあります。
軽度の痛みや一時的なものは自然に改善することもありますが、症状が続く場合は医師に相談しましょう。
陰嚢・精巣が腫れる場合
陰嚢や精巣の腫れは、腫瘍や感染症、液体の貯留などが原因で起こります。
年齢や症状の有無によって、緊急性や治療の方法が異なります。
精巣腫瘍
精巣腫瘍は精巣にできるがんで、特に30歳以下の若年男性に多く見られます。
初期には痛みがなく、不自然な腫れだけが目立つこともあります。
診断は超音波やCT検査で行い、手術による摘出が中心です。
必要に応じて抗がん剤や放射線治療も行われます。
進行が早いため、症状がなくても自己判断で放置せず治療につなげていくことが重要です。
陰嚢水腫
陰嚢水腫は精巣の外にリンパ液が貯まる状態で、40歳以上の男性に多く見られます。
通常は悪性ではありませんが、稀に腫瘍と合併することがあります。
診断は超音波で行い、液体の摘出や手術が必要になることがあります。
急性精巣上体炎による腫れ
急性精巣上体炎は炎症により陰嚢や精巣が腫れることがあります。
発熱や排尿時の痛みを伴うことが多く、クラミジアなどの感染症が原因になる場合もありますが、性行為以外の感染でも起こります。
診断は触診、超音波、採血、尿検査で行い、抗生剤と安静、患部冷却で治療します。
検査の方法
陰嚢や精巣の異常を確認するには、基本となる視診・触診・血液検査・尿検査、そして超音波検査(エコー)が用いられます。
症状が軽くても、腫瘍などの早期発見のためには正確な診断が重要です。
視診・触診
患者様の話を伺い、医師が直接陰嚢や精巣を確認することで、腫れやしこり、左右差などを判断します。
患者様自身では気づかない異常も見つかることがあります。
血液検査
血液検査では、体の中で炎症が起きていないかを確認したり、精巣腫瘍の可能性を調べたりします。
腫瘍がある場合、血液の中に特定のたんぱく質や物質が増えることがあります。
これらの数値を確認することで、腫瘍の可能性を早く見つけることができます。
尿検査
尿中の細菌や赤血球・白血球の有無を調べることで、精巣や精巣上体の感染症を診断する手助けとなります。
超音波検査(エコー)
陰嚢や精巣の形態、腫瘍の有無、液体の貯留、静脈の拡張などを確認するために行います。
放射線を使用せず痛みも感じない検査なので、患者様の状況に合わせて繰り返し行える方法です。