性器に痛み、痒みがある。不快感

性器に痛みやかゆみ、できものや発疹が生じる症状は、早期に原因を特定して適切に治療することが非常に重要です。
痛みやかゆみは日常生活に支障を及ぼすだけでなく、放置すると症状が悪化したり、性感染症や皮膚疾患が慢性化したりするかもしれません。
自然に治ることもありますが、症状が続く場合や悪化する場合には泌尿器科や皮膚科を受診することが推奨されます。

性器に痛みや腫れが出る主な病気

性器に痛みや腫れが生じる場合、主に炎症や感染、外傷などが原因として考えられます。
症状の出る部位やタイミング、痛みの性質によって、原因となる病気がある程度絞り込めます。
ここでは代表的な疾患を詳しく説明します。

亀頭包皮炎

亀頭や包皮に炎症が生じる病気で、痛みやかゆみ、赤み、ただれなどが見られることがあります。
亀頭包皮炎の治療は、抗菌薬の服用や抗菌薬とステロイドを含む軟膏の塗布が基本です。
真菌性亀頭包皮炎は白や黄色のカスが亀頭や包皮に付着することが特徴で、抗真菌薬の内服や軟膏塗布で改善が期待できます。
亀頭包皮炎は繰り返すこともあるため、日常的に清潔を保ち、摩擦を避けることが大切です。

性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスによる感染症は、性器やその周囲に小さな水ぶくれができ、痛みやかゆみ、不快感を伴うことがあります。
水ぶくれが破れると潰瘍状になり、感染性のある分泌物が出るため、性行為によってパートナーに感染するリスクがあります。
治療には抗ウイルス薬の服用が行われ、症状を早く改善させることが可能です。

梅毒

梅毒は性行為によって感染する病原菌「トレポネーマ」によって引き起こされる感染症で、感染部位にしこりや赤いただれが出ることがあります。
感染後1か月ほどで症状は自然に消えることがありますが、体内には細菌が残るため放置すると病気は進行します。
感染から3か月ほど経過すると、手のひらや足の裏に赤い発疹が広がる第Ⅱ期に進行します。
さらに数年～数十年放置すると皮膚や筋肉、骨にゴム状のしこりができ、心臓や脳などの臓器に重篤な障害を起こす第Ⅲ～Ⅳ期に進行し、最悪の場合命に関わることもある恐ろしい病気です。

外傷・機能異常

陰茎折症は、勃起中に強い力がかかり、陰茎の白膜が断裂することで腫れや変形、激痛を伴う状態です。
持続勃起症は、性的興奮の有無に関係なく勃起が4時間以上続く状態で、血液疾患や薬剤による副作用が原因で発症することがあります。
いずれも自己判断せず、速やかに医療機関で診察を受けることが推奨されます。

性器にかゆみが出る主な病気

かゆみは感染症や皮膚疾患によって生じることが多く、放置すると皮膚をかくことで傷がつき、二次感染や炎症を引き起こすことがあります。
ここでは代表的な疾患を見ていきましょう。

毛じらみ症

陰毛に寄生する吸血昆虫「ケジラミ」が原因で、陰部や周囲の皮膚に強いかゆみが生じることがあります。
我慢できないほどのかゆみが出ることもあり、性行為や寝具、タオルを介して感染するリスクがあります。
治療は駆除用シャンプーや薬剤を用いて行われます。

疥癬

特定のダニが皮膚の角層に寄生することで発症する感染症です。
赤いブツブツやトンネル状の発疹、強いかゆみが特徴で、性行為や接触によって広がることがあります。
タオルや寝具を介して感染する場合もあるため、同居者のケアも重要です。

陰部湿疹・汗疹

陰部や陰嚢、内腿に湿疹や小さなブツブツができ、かゆみを伴うことがあります。
汗や摩擦が原因で症状が悪化することが多く、かくことで皮膚に傷がつき、細菌感染のリスクも高まります。

扁平苔癬

皮膚や粘膜に慢性的な炎症が生じる病気で、赤色や紫色に変色した皮膚、ただれやかさぶた、かゆみや痛みを伴うことがあります。
口腔扁平苔癬の場合、がんに進行するリスクもあるため注意が必要です。

股部白癬

足の白癬菌が陰部や内股に感染することで発症し、赤いブツブツとかゆみが現れます。
高温多湿で通気性の悪い環境にいると感染リスクが高くなります。

性器の痛み・かゆみの予防と対処法

性器の痛みやかゆみ、発疹を予防するには、感染症対策や衛生管理が欠かせません。
感染を予防する方法としては性行為を控えること、行為の際はコンドームを必ず使用することが重要です。
さらに、性行為前後にシャワーを浴びる、寝具やタオルを清潔に保つ、体調不良時には性行為を避けるなどの生活習慣も大切です。
また、定期的に性感染症検査を受けることで、無症状の感染を早期に発見し、適切な治療を受けることも大切です。